今、隣ですやすやと寝ている はな。
あなたが産まれてから、ガラっと生活が変わりました。
でもこの変化はわたしにとって、とても心地よい、良い変化です。
あなたのおかげです。ありがとう。
「はな」という名前はね、あなたのお父さんがつけてくれました。
お父さんもお母さんも、とても気に入っています。
この前ね、お父さんがあなたに手紙を書いてくれました。
大きくなったときに、読んでほしい。
だから、ここに記します。
大切な はな へ。
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2010年5月31日、産まれたこどもへ。
はじめまして。
そして、産まれてきてくれてありがとう。
おなかにいたときは、
たった数センチの距離だったのに、ずっと会えなくてうずうずしてたんだ。
髪の毛がふさふさだね。3744グラムだって。
父ちゃんよりおおきくうまれてきたんだぞ。すごいなぁ!
でっかく育つんだ~。
お父さん、子どもができたのを知ったときは、
それはそれはうれしくて、飛び跳ねました。
まだ、おかぁさんのおなかが小さいうちは、
本当にこの中に子どもがいるのかな、と不安になったりもしたけど、
大きくなってくるにつれて、声をかけたり、さすったり、耳を当てたり、
何か聞こえないかなぁといろいろやってみたりしたんだよ。
そうそう、病院でおなかの写真をとったとき、
ちょうどおなかの中で、おまえがあくびをしたことがあったんだ。
その瞬間をばっちり先生が撮ってくれたから、
大きくなったら見せてあげるよ。
あくびがでかいのは、父親似かもしれない。
お父さんは、おまえに、世界の広さを教えてあげたいんだ。
あんなこと、こんなこと、いろいろ楽しいことがある。
何を選んでもいい、何を好きになってもいいから、
元気で、健康であって、たくさん笑う人になってほしい。
そしてその笑いが、中国の人にも、アメリカの人にも、
ヨーロッパの人にも、アフリカの人にも、届けられる人になってほしい。
そして、ひとつだけお願い。
お父さんとお母さんより、1分、1秒でも長く生きてください。
そして、僕たちの見れない未来という町角を、
少しでもたくさん見て、感じて、歩いていってください。
もし、お父さんやお母さんの最期のときに、
笑ってそばにいてくれたら、それだけで僕らは幸せなのです。
お前の名前は、「はな」にすることに決めたよ。
タロウとハナコの「はな」だよ。というのはうそです。
花が咲くように、明るい、元気な子に育ってほしい。
小さな種から芽を出し、大地に根ざし、葉をつけ、
実がなり、花が咲いて、種になる。
ぼくら、人間は、自然に生かされています。
おまえが吸っている空気も、太陽も、海も、森も、
山も、魚も、みんな自然の一部なんだ。
おまえが生きるこれからの世界は、頭では理解していながら
この本質をふっと忘れてしまう時が来るかもしれない。
でもおまえは絶対に忘れない。
こんな素敵な名前をつけることができたんだから。
そして、海外名は「Hanna」にしよう。
hanna=joy(喜び)を意味する名前なんだよ。
では、
最後に、おまえに伝えたい言葉。
チャップリンの「独裁者」っていう古い映画があってね。
チャップリンの実の母親の名前がハンナって言うんだけど、、、
その映画の最後に、主人公がハンナに向かってこう言うんだ。
ハンナ 聞こえるかい
元気をお出し
ご覧 暗い雲が消え去った
太陽が輝いてる
明るい光がさし始めた
新しい世界が開けてきた
人間の魂は翼を与えられていた
やっと飛び始めた
虹の中に飛び始めた
希望に輝く未来に向かって
輝かしい未来が 君にも私にもやってくる
我々すべてに!
ハンナ 元気をお出し!
これから、おまえの無限の未来を、
一番そばで見守っています。
愛してます。
産まれてきてくれて、本当にありがとう。